事実と評価は何が違うのか

— 意思決定の前提を揃えるために —

What Is the Difference Between Fact and Assessment?

— Aligning the Basis of Decision-Making —


はじめに

職場でのやり取りの中で、

「リスクが高いと思います」

「状況はよくありません」

といった言葉が使われることがあります。

しかし、そのときしばしば起きているのは、

何をもとにそう言っているのかが共有されていない

という状態です。

この背景には、

事実と評価が分けて扱われていない

という構造があります。

事実とは何か

事実とは、

加工されていない、そのままの情報です。

たとえば、

・労働時間の記録

・睡眠時間のデータ

・本人の発言

これらはすべて事実です。

ここではまだ、

何が重要か、どのように捉えるかは決まっていません。

評価とは何か

評価とは、

事実を選び、意思決定に使える形に整理したものです。

たとえば、

・時間外労働は月80時間

・睡眠時間は平均5時間

・疲労の訴えあり

これは、数ある事実の中から必要なものを選び、

一定の形に整えたものです。

ここで重要なのは、

評価は「良い・悪い」という判断ではなく、

意思決定のために情報を構造化する行為であるという点です。

事実と評価の違い

事実と評価の違いは、次の一言で表せます。

事実は材料であり、評価はその材料を整理したものです。

もう一段シンプルに言うと、

事実:ばらばらに存在している

評価:意思決定に使える形に並べる

という違いがあります。

なぜ分ける必要があるのか

事実と評価が分かれていないと、

・何を見ているのかが分からない

・人によって前提が異なる

・議論がかみ合わない

という状態になります。

一方で、この二つが分かれていると、

・どの情報を使っているかが明確になる

・評価の前提が共有される

・解釈や意見の根拠が見える

ようになります。

意思決定との関係

意思決定は、

事実 → 評価 → 解釈 → 決定

という流れで進みます。

この中で、評価は

事実と解釈をつなぐ位置にあります。

ここが曖昧なままだと、

・解釈が先に立つ

・判断が感覚に依存する

・根拠が後付けになる

といったことが起きやすくなります。

おわりに

実際の思考は、事実と評価が同時に行われることも多くあります。

しかし、それをあえて分けて捉えることで、

・どこで認識がずれているのか

・何を前提に判断しているのか

が見えるようになります。

職場におけるやり取りを整えるために必要なのは、

「事実を集めること」だけではなく、

評価を揃えることです。

Keywords

fact vs assessment

decision-making

information structuring

risk assessment

organizational structure

occupational health

SAT framework