なぜ「理由」が言えなくなるのか

— 評価と構造のあいだにあるもの —

Why Reasons Become Difficult to Say

— Between Evaluation and Structure —


はじめに

人は、理由があれば動く。

これは、一般的に正しい前提です。

しかし、

職場における健康や体調に関わる場面では、

この前提が機能しなくなることがあります。

理由を言わないと不信感が生まれる。

理由を言うと評価に聞こえる。

このあいだで、

言葉は止まります。

管理者の位置

管理者は、

業務を評価する立場にあります。

一方で、

働く中での健康リスクに最初に触れる立場でもあります。

つまり、

評価する人でありながら、

評価してはいけない領域にも触れる。

この位置に立っています。

本人から見えているもの

このとき本人に見えているのは、

役割の違いではありません。

同じ「上司」という存在です。

したがって、

どの言葉も

業務評価と切り離して受け取ることはできません。

理由が機能しなくなる構造

理由にはいくつかの種類があります。

• 状態を評価する理由

• 事実に基づく理由

• 構造に基づく理由

このうち、

状態を評価する理由は、

そのまま評価として伝わります。

また、

事実に基づく理由であっても、

評価と結びつきやすい領域では、

同様に受け取られます。

ここで、

理由は機能を失います。

構造に理由を置く

では、理由は不要なのでしょうか。

そうではありません。

必要なのは、

理由の置き場所を変えることです。

個人の判断ではなく、

構造の流れに理由を置く。

たとえば、

「こういうタイミングでは、

一度状況を確認する流れになっている」

ここでは、

誰かが評価しているわけではありません。

判断も、まだ行われていません。

評価と切り離す

さらに重要なのは、

その場が何であるかを明示することです。

「評価とは切り離して、

今の状況を見ていく場である」

この一言がなければ、

どのような説明であっても、

評価と結びついてしまいます。

本質

管理者が言えなくなるのは、

正しく説明しようとしたときです。

理由を説明しようとするほど、

評価に近づいてしまうからです。

まとめ

理由は必要です。

しかし、

評価の理由では機能しません。

必要なのは、

構造に基づく理由です。

それにより、

言葉は個人から離れ、

判断は組織の中を流れ始めます。

※本稿では「なぜ言葉が止まるのか」を扱いました。

この構造を前提にしたとき、なぜトリガー設計が必要になるのかは、別稿で扱います。

Keywords

• decision-making structure

• evaluation vs structure

• workplace communication

• psychological safety

• role clarity