What Comes After “Talk to the Occupational Physician”
はじめに
「困ったときは産業医に相談してください」。
職場でよく使われる言葉です。相談件数が増えることは、相談窓口が知られ、利用されていることの表れでもあります。
ただ、相談を勧めることと、安心して相談できる流れをつくることは、同じではありません。
従業員は、職場で働いている途中に相談へ向かいます。その間の仕事や所在をどう扱うのか。相談したことや相談の内容は、誰に伝わるのか。
「相談して」という言葉の先には、こうした仕組みが必要です。
相談に行く間も、職場の時間は流れている
勤務中に産業医へ相談するには、本人はいま行っている仕事を中断します。
その時間を勤務上どう扱うのか。職場には誰が、何を伝えるのか。上司は本人の所在をどう把握するのか。
これらが曖昧なままでは、本人は相談に行きづらくなります。上司にとっても、業務中に本人の所在が分からなくなる運用では困ります。
一方で、所在を把握するために、相談の内容まで知る必要はありません。面談先が産業医であることを上司に伝える必要があるかどうかも、運用によって異なります。
職場には、離席する時間だけを伝えればよいのか。面談先まで知らせる必要があるのか。相談の内容は、誰に、どのような場合に共有されるのか。
必要な情報とその伝え方をあらかじめ整理し、本人にも分かるようにしておくことが、安心して相談できる入口になります。
相談の時間も、職場の時間の中にある
本人の業務が終わってから面談を設定すれば、仕事を中断せずに済むように見えるかもしれません。
しかし、職場が設ける健康相談は、働く人の健康を守り、必要な就業上の対応につなげるための仕組みです。相談のために業務を離れる時間も、その仕組みの一部として扱う必要があります。
面談中に本人の不調が強まり、受診や帰宅の支援が必要になることもあります。そのときは、状況に応じて職場の関係者との連絡や調整が必要になります。
通常の相談を本人の業務が終わった後に置けば、そうした対応も職場の通常の流れから外れやすくなります。
本人が勤務時間内に業務を離れて相談でき、必要なときには職場も対応できること。そこまで含めて、相談の流れを整えておきたいと思います。
面談の方法は、何を判断するかによって変わる
オンラインは、相談につながるための便利な方法です。ただし、相談のしやすさだけで、就業上の判断を行う面談の方法まで決めることはできません。
健康状態と仕事との関係を確認し、就業上の条件について意見を述べる面談では、本人の言葉だけでなく、表情や動き、入室時からの様子も判断材料になることがあります。
ふだんから顔を合わせ、仕事ぶりを知っている相手とのオンライン会議とは違います。産業医が初めて会う本人について判断する場合、画面に映る範囲と、本人の言葉だけで十分かを慎重に考える必要があります。
その面談で何を判断するのか。そのために何を確認する必要があり、どの方法なら確認できるのか。
面談の方法は、利便性だけで一律に決めず、目的と必要な判断に応じて選ぶことが大切です。
おわりに
相談件数が増えることは、窓口が利用されていることの表れです。その先には、本人が仕事の中で相談へ向かい、安心して話せる流れが必要です。
相談できる時間や、話した内容の扱いが見えていること。
そうした環境があってこそ、「産業医に相談して」という言葉が、安心して受け取れる案内になるのだと思います。
English Summary
Encouraging employees to consult an occupational physician is only the beginning. Employees need a clear way to attend consultations during working hours, while the workplace needs to know how to account for their whereabouts and explain how consultation information will be handled. If an employee becomes unwell during a consultation, workplace coordination may also be needed. The format of a meeting should reflect what the physician needs to observe and assess, particularly when forming an opinion about work. Consultation numbers show that a service is being used; a clear process helps employees feel able to use it and speak openly.